浜崎あゆみ「Rock'n'Roll Circus」感想

 

日記用に書いてたものですが、長くなりすぎたのでページを用意しました。とりあえず聴いた回数が少ないうちでの感想を書いておこうかと思ってます。興味がある方は読んでいってください。
また各楽曲の歌詞のリンクも貼っておきます。リンク先は「Uta-Net」です。

 

○全体的にどうなの?

 今回のアルバム、予想では結構ネガティヴな部分が多いと思ってたんですけど、わりとそうじゃなかった気がします。とはいえ「アメリカのカラッとした音」ではなく、やっぱりどこか陰の潜んだ世界観が素敵すぎます(笑)。で、曲の流れとしては、ロックはロックで固まってたりしてるわけじゃなく、色んなジャンルの曲がバラバラに散りばめられてるって感じでした。ロックやバラードが固まってるアルバムと言えば「MY STORY」がいい例なんですけど、今回はそういうのじゃなくて、ミスアンみたいに「若干雰囲気が似てるかな?」という曲を固めてみたような、だけど気持ちが右に行ったり左に行ったり、という感じの構成になってたかな、と。いやミスアンは気持ち的な部分で綺麗に繋がってるんですけど(「Duty」や「GUILTY」も同様)、今回は一つ一つの曲が独立しているような部分があったかなー、と。まあまだ数回しか通して聴いてないからあまりよく分かってない状況なんですけどね。

 ついでにあゆさん直筆の歌詞原稿ですが、当然のように入ってませんでした。ちょっと期待してたのに残念。さらに店でのクジも一番下の賞っていう。ポスター貰いましたよ、ええ。

○イメージ面について

 要するにジャケット写真とフォトブックのことですが。私はファッションにはあまり詳しくないんですが、今回のジャケットはイギリスということもあり、なんと言うかもう私の好みをずばりと言い当てられたような、そんなジャケットだったと思います(笑)。フォトブックにはイギリスの景色がいろいろと写っていて……ますますイギリスに行きたくなってしまいましたとも。ちょっと前まではイギリスよりフランスに行きたいと思ってたんですけど(目当てはルーヴル美術館)、やはり「光栄ある孤立」と言われていた大英帝国のことが好きだなと、改めて意識させられた気がします。あのユニオン・ジャックの帽子とか……素で欲しいんだけど(笑)。赤い電話BOXに触ってみたい。

○各楽曲について云々

 さてさて、それでは本題とも言える各曲についての感想を述べていきましょう。書く前から恐ろしく長くなることが予想できるんですが、正直な感想をいろいろ好き勝手綴っていくことは、無意味じゃないと思う。

01. THE introduction

 最初はやはりインストでしょー! ということで、インストです。今回のアルバム、ひそかにインストに期待しまくってました。だって「GUILTY」のインストが神がかってましたからね。しかもロンドンで制作とか言ってましたからね。きっと何かをやってくれると信じて疑わなかったですからね。そしていざアルバムを開き、CDを取り出し、再生ボタンを押すと、真っ先に聞こえてくるのがこの曲。一分半くらいの曲ですが、ああ、やっぱりやってくれたな、と思いましたよ。この曲が終わる頃にはすでに別世界の中にいましたよ。まるでどこぞの巨大な門をくぐったような感覚になりました。で、なぜかテイルズオブジアビスのダアトを思い出しました。鐘の音が好きな私には嬉しいインストでした。

02. Microphone

 HONDAの「ZEST Spark」のTV-CFソングであり、Mステその他の歌番組で数回歌っていたので、聴いたことのある方も多いと思われる一曲。正直、この曲はタイトルが意味不明すぎて、そこが若干気に入らなかったんですよね。歌詞の中の「あなた」も事実を聞くまで別の人だと思ってましたし。でもメロディと歌詞はかなり好きでしたね、初めて聞いた時から。そんなむずむずした状態で受け止め、フルを聴き、pvを見て、さて終わりにメイキングを見ようか、と思ってメイキング映像を見てたわけですよ。そしたら最後の方で浜崎さんが「どうしてこのタイトルなのか分かる?」という感じのことを問いかけていたんですよね。それを聞いた瞬間、全神経を耳に集中させた私がいました(笑)。そして得られた答えに敬服しました(笑)。なるほど、と思いましたねー。そしてそのヒントは実は歌詞の一部に隠れてたんですね。わりと堂々と歌っているのに、なんでそこに気付かなかったんだ、とちょっと悔しくなりました。しかしあゆさんの口から歌詞のネタばれが聞けるってのも結構珍しい気がします。だいたいどんなことを歌っているのかってのは何度も聞いて予想するものなんですけど、こういうふうに教えてくれるってのも嬉しいですね。

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03. count down

 カウントダウンと言えばライブを思い浮かべましたが、ライブとは全く雰囲気の違う曲ですね。タイトルだけを見たらどんな曲なのか予想するのが難しかったです。最初に某所で視聴した時、なんか普通な曲かな、と思ってました。でも最後まで聞いてみると、「あ、この曲好きだわ」と思いました。素でそう思ったのは珍しかったですねー。こういうのってなんて言うんでしょうかね、ロックバラード? とにかくそんなノリです。で、世界観としては、暗いです。怖いくらい暗いです。最初のピアノが深淵へと案内してくれます。で、問題の歌詞ですが。これはもう本当に「底」と言うか、そういうところから這い上がろうとしているのか、或いは「無」になったからもう何を見ても何も感じなくなったというか……とにかく絶望の中にいるわけじゃないけど、上にも下にも行けない、って感じでしょうかね。うーん、なかなかこの曲を言葉で表現するのは難しい。さらに聞けば聞くほど分からなくなってくる。なんとなく灰色の中で漂っている感じがします。サビはなかなか力強さが見えてくるけど、それがどんな感情から来た強さなのかはまだ分からないです。そして歌詞に出てくる「左側」という単語。これが何を指しているのか全く分からない。身近な例なら耳のことなんだろうけど、まだ何か他にあるような気がするんですよね。

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04. Sunset 〜LOVE is ALL〜

 シングルでも発売された、「Sunrise」の片割れですね。バラードの方です。この曲って「Sunrise」があるおかげで印象が薄れてるような気がするんですけど、実は綺麗な曲なんですよ。初めて聴いた時は素で感動しましたしねー。ああ、あの曲がこんなにも変わるのかって、すごく感激した覚えがあります。今でも一人で聴いているとその世界観に引き込まれます。そして「あなたを変える気はないし〜」のところは「Sunrise」と同様にすごくいいと思う。歌い方もまさしく「そっと囁いてる」ような歌い方なので、目を閉じれば本当に心が癒されます。ただ「count down」との温度差がかなりあると思うんですが、慣れれば大丈夫ってことなんでしょうか(笑)。この曲の感想を一言で言うならば、「美しい」と言えるでしょうね。この曲は聴けば聴くほどハマります。

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05. BALLAD

 こちらもシングルより。NHKドラマの「蒼穹の昴」主題歌らしいですが、見てないです。この曲はいつも「You were...」の後に聴いてたんですが、その時はなんか音が小さいような気がしてたんですよね。でも「Sunset」の後に聴くと「そうでもないか」と思うようになりました。何気に「You were...」って音が派手なんですよね。だからもともと静かなこの曲が静かすぎるように感じられたんだと思います。この曲はやはり感情が伝わってくる曲ですね。特に最後の「ねえ許して」っていうのがね……本当にもう。今まで抑えていたものが一気に溢れ出したような、そんな感情の波に襲われるような感覚になります。この曲はやっぱり恋愛の曲ではないと思うんですよね。pvも単に恋人の死に涙するようなものではなく、自分の状況を理解したくなくて目を背けている人に、ちゃんと現実を見て理解して受け入れなければならない、ということを言っているような気がするんです。だって幾度も顔を隠した自分が視界の中に入ってくるんですものね。

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06. Last Links

 報道特集のエンディングテーマ曲。たまたまテレビで報道特集をやっている時、通りかかった私に母が「浜崎あゆみがエンディングだって」と言ってくれたおかげで、偶然アルバム発売前にサビだけ聴くことができた曲です。ちなみに母は私があゆさんのファンだということを知ってます。母は好きでも嫌いでもないみたいですけどね。で、曲の方は、サビのメロディは非常に分かりやすく、覚えやすいものでいいと思いましたね。で、実際にアルバムで聞いてみると、サビだけでは分からなかったことが明らかになるわけですが、サビだけを聞いた時とではかなり印象が変わりましたね。というかこの曲の歌い方はなかなか新しい感じがします。バスの中でこれを聞いている時、こんな歌い方(というか声?)をどう表したらいいのかと考えてたんですが、ふと「少年っぽいな」と思いました。むしろ性別を感じさせないというか。浜崎さんって昔から「世の中にある様々な悲しみや悩みは消えないし、どんな絶望がこの身に降りかかったとしても、結局生きている限りはそれを受け止めなければならないし、生きることをやめることはできない」ってことを歌の中で言い続けてるんですよね。だいたいはそれは暗に示していて直接言うことは滅多にないんですけど、この曲ではわりと分かりやすくそれを言ってるなーと思いました。というか怒りが止まるって表現が好きです。鎮めるならよく使うけど、そうですよね、鎮めただけじゃあ意味がないですもんね……。

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07. montage

 インストです。なんていうかもうね、「フーガでも作っちゃえば?」と思いましたよ(笑)。今回のアルバムは外国だからなのか、クラシック調なインストが多いですね。本当にもうインストはどんどん進化していってます。しかしこの曲、ラストがドラクエのオーケストラ版みたいな終わり方ですね(笑)。

08. Don't look back

 発売前から最も気になっていた曲がこれ。タイトルの直訳は「後ろを見るな」。で、この曲はサビの部分が幾度も繰り返され、その他の歌詞が本当に少ない。これにはちょっと驚きました。過去の例で言えば「Pride」あたりに似てるのかしらん。しかしその少ないうちの一部分の歌詞により、この曲全体の雰囲気が構成されたような気がします。そしてpvが素晴らしすぎると思いました。今までの作品で好きなpvと言えば「Moments」と「forgiveness」なんですが、それらと同じくらいに好きかもしれません。暗いですけど(笑)。で、この曲で何を言っているのかというと。……とりあえず聴けば分かると思うけど、分からない人だっているんですよね。だからこそここまで露骨に言わなければならなくなったんですよね。本当ならファンは「GUILTY」の頃に気付くべきだったんだと思います。でもファンサイトとかを見ていても、そういうことを書いてるところを見かけたことはなかったから、きっと皆さん気付かなかったんですね。だから浜崎さんも今になるまでその気持ちを抱え続けて、割り切ることも投げ出すことも吹っ切れることもできずに、ついにこの曲の中ではっきりと言ってしまったんでしょうね。こういうことを歌詞の中に表すということは誰かに聞いてほしいことなんだと解釈してもいいんでしょうか。そればかりは分からないことだけど、こういう類の悩みってのは、きっと生涯ずっと自分の影にくっついてくるようなものだと思います。だからいくら他人からの慰めを受けても、それが完全に癒されることはないんでしょうね。……ちなみに私が語ってる悩みってのは恋愛のそれじゃないです。なんか勘違いする人がいたら困るので。pvに関しては、メイキングを見る前から「二面性」には気づきましたよ、と言ってみる(笑)。

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09. Jump!

 インスト三曲目。直前の鬱な気分を取っ払うかのように、とにかく騒いでます(笑)。こういうインストは従来の浜崎さんっぽいですよねー。ただ何気にリズムがいい。わりと耳に残るインストでした。

10. Lady Dynamite

 そして明るくなったところでこの曲ですよ。確かにこの曲はメロディも歌詞も明るいですけどねぇ、結構キツイことを言ってるんですよね(笑)。「演説大会」のところは本当に「そうだよそうだよ!」と言いたくなりましたねー。私なりにまとめると、「ちょっと皆さん騒ぎすぎなんですよ、五月蠅いんですよ、黙っててほしいんですよ、ああでも誰かに聞いてもらわなきゃあだだこねちゃう? だったらいつでもあなたを肯定して愛情注いでくれるママに聞いてもらってね、坊や達。だって否定されるのが怖いんでしょ? それでももしもついて来たいなら、それはそれで構わないけどね、その後どうするかは自分で決めなさいね」って感じの曲です。……うん、こうして見てみても、あゆさんのさり気ない毒舌や黒さが素晴らしいですね!(笑)「坊や達」って単語も珍しいしびっくりしたけど、今のあゆさんだからこそ使っても違和感のない単語ですよね。もし20代で坊や達なんか言ったら「いや、あんた何言ってんの」ってなりそうですしね。とりあえずこの曲で言えることは、自分の意見が通らなかったら癇癪起こす人たちに相当の皮肉を浴びせかけてる、って感じですね。ネット上とかではそういう人って多いですから。要望が通らなかったくらいで荒らす輩もいるわけだし。

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11. Sexy little things

 この曲、最初タイトルを見たときに非常に驚きました。「あゆさんがせくしーだと!?」って感じで。まさかその辺に溢れてるアメリカっぽい色気たっぷりの曲を作るようになったのか? と思ってどきどきしたんですけど、全然違いました(笑)。この曲も「Lady Dynamite」と同様、わりと毒舌入ってますね。視点としては女性を中心として語ってますが、まあいろいろと解釈もあるわけで。しかしこの曲はメロディが頭に残りすぎます(笑)。本当にこれはクセになる。で、問題はpvなんですが。なぜだかラストで「Microphone」と繋がってるんですよねぇ。その前に最初のコンセントが怖すぎるのと、馬のシーンがあらゆる意味でぶっ飛んでるのが気になったりもしますが、まあ一番の問題は二曲の繋がりじゃないでしょうか。これについてはまた後で書きます。

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12. Sunrise 〜LOVE is ALL〜

 シングル曲ですね。夏の曲として位置付けられてますが、夏っぽさがあるのはpvだけのような気がするんですが。個人的には雰囲気は「Sunset」の方が好きなんですが、歌詞はこっちの方が好きですね。特に「僕らは〜」のところ。ここは本当に最高だと思う。ただこの曲、わりと音が大人しめなんですよね。もうちょっとうるさくしてもよかった気がします。以前も書いたような気がするんですけど、今までとちょっと歌い方が違いますよね。それがなかなかいい味を出してると思ってます。

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13. meaning of Love

 最近のあゆさんの声は絶対にバラードよりロックだ! と思い続けていた私ですが、はっきり言いますと、この曲を初めて聴いた時、二番のサビのところから泣きました。そしてどうして泣いてるのか自分で理解できなかったんですよね。歌詞はあゆさんの「愛」の認識についての内容だと思うんですが、特に印象深い言葉があるわけでもないし、ショックを受けるようなことを語ってるわけでもない。それなのに涙が溢れて久しぶりに泣いてしまったんですよ。それも私は何かの曲を聞いて泣くことって滅多になくて(アニメとかドラマではよく泣きます。笑)、なんで涙が止まらないのか不思議で仕方がなかったんです。でも後から思い返してみると、きっと私は「言葉なんてなくてもいい」というところにやられたんじゃないかと。一番のサビを聴いてる時は「大事にしてね」で急に高音になってびっくりしてたんですけどね……(笑)。この曲に関しては、あまり深くは語るまいと思ってます。あゆさんにしては珍しい「癒し」的なメロディと歌声であり、それだけでこの世界観を感じることができると思います。これこそ「理屈じゃない」ってヤツなんでしょうね。

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14. You were...

 シングルとして発表された曲。イントロがなんだか冬っぽさを感じさせる音になってますね。始まりこそ穏やかではあるけど、サビではドスンと重いものを上から落とされたように感じられます。内容としては恋愛の曲で、世間じゃ某N氏の曲だなんて言われてますが、個人的にはその思いは「Days」で完結したような気がするんですよね。あゆさんのシングル曲って二回三回聴いただけじゃあまり気に入るものってないんですが、この曲も幾度も繰り返し聴くことによって良さが分かりました。ラストの部分とか、すごく感情が伝わってきて好きですねー。

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15. RED LINE 〜for TA〜 [album version]

 この曲は、まあ、うん……多くは語るまい。ファンに向けた曲ですね。別にファンクラブに入ってないファンには向けられてないわけじゃないと思いますが。ただなんとなく、今でもタイトルの意味が掴みかねないってのはあります。ラストのあれは純粋にいいと思いましたね。

○そしてどうなる?

 アルバムタイトルについてですが、これはかなりいい感じにマッチしてると思いましたね。ロックンロールはそのままだし、サーカスについては楽曲を聴いてみて納得がいきました。要するにピエロですよ。ピエロとは即ち二面性ですよ。「Don't look back」でのpvのテーマも二面性だし、「Microphone」と「Sexy little things」の繋がりもまた二面性なのではないかと。表に出ている面と裏に潜んでいる面、浜崎あゆみという商品とあゆという人間、光の部分と影の部分など。二面性というテーマはミスアン、つまり「(miss)understood」でも出てきたものでした。こっちは「誤解されること」と「理解した女性」という二つの意味合いを持つタイトルでした。さらに遡ると二面性、つまり「なぜかそこに二人いる」という不可解な状況が生まれていたのは、「Duty」から現れていたことでした。「SURREAL」での悟りだとか、「Dearest」での出会いだとか、「(miss)understood」での二人とか、あゆさんの曲を全て聴いていってみると、一人じゃなく二人、または三人以上発言者がいることに気付くと思います。でもそれらは確かに一人の人間であり、別の人間であるわけではない。ちょうど私が今読んでいるヘッセの「荒野のおおかみ」みたいな感じだと思いますね。(ちなみに「Dearest」がそうだと思うようになったのはこのサイトの影響です→http://www.calvadoshof.com/artist/HamazakiAyumi/index.html)

 今後繰り返しこのアルバムを味わうことにより、今感じている全てが変わることは大いに有り得ることだと確信を持って言えます。またここに書いていることは私個人の解釈ですので、文句は受け付けません(笑)。しかし、「Don't look back」ではとても難しい質問を投げかけられてしまい、私はその問いに自信を持って答えることができないです。本当に、多くの人に「あなたならどうしますか」と聞きたい。そしてその問いに胸を張って堂々と答えられる人がいるなら、その人の答えを聞いてみたい。自分の全てを決めてしまうような質問に、どんな答えで終わらせるのか。たとえその答えで身を滅ぼすことになっても、あなたは立ち続けていられるのですかって。

 ……ふと思ったけど、「GUILTY」で「君に言わないことを許して」と言ってるってことは、その頃はまだ隠そうと思っていて、また「きっともう君は分かってるのね」って言ってるところを見ると、既に気付かれているものと思ってたってことなんでしょうかね。「Don't look back」で口にしたことを否定的にとらえてなければいいけど、それは実はすごく酷なことかもしれない。でも私は浜崎さんには幸せになってほしいと思うんですよね。だからこういう苦悩っていうのは、誰かにやわらげてもらうことはできるけど、結局は自分でどうにかすべきなんだってことを受け止めて、その上での答えを出さなきゃならないと思うんですよ。そしてそれを超えることができたら、本当の意味で浜崎あゆみは時代に名を残すアーティストになると思います。もちろんそこへ行きつくには多くの時間が必要になると思いますが……。

 

 

 

続・ろけろについて(追記)

 

続ということで、次のアルバムが出る前に聴きこみまくったところでの感想を書いておきましょう。

初めて聴いた頃の印象と今とでは結構違っている部分が少しばかりあります。何よりアルバム全体の雰囲気ですね。最初は「マイスト系(一般受けする感じ)?」とか思ってたんですが、これ、たぶんミスアン系だと思われます。どの辺がミスアンなのかというと、まず二面性という点でもそうだし、気持ち的な部分で似ているんじゃないかと思ったからなのです。ミスアン、つまり「(miss)understood」で何を歌っていたかというと……それはとりあえず「alterna」を聞けば分かるでしょう。またどこぞのインタビューで「変わりたかった」と言っていたこともあり、このアルバムは今までの浜崎あゆみというイメージ(要するに誤解?)を壊そうとした試み、というふうに解釈できるかと思われます。しかしまあ、その心境に至るまでに、またその行動を起こすまでに、様々な悩みがあったかと容易に想像することができますね。だってあえて売れる路線から道を踏み外そうとしたんですから。
……というのがミスアンの説明ですが。さて今回の「ろけろ」がなぜこのミスアンと似ていると思ったのかというと、ろけろにはミスアンと同様に「吹っ切れた部分」があるからです。ミスアンではアルバムタイトル曲にて「開き直った」と歌っていたし、「Pride」での「そこがもしこの世の果てでも〜」って部分や、「rainy day」での「一瞬の光」など、ある一つの悩みを通り過ぎて答えを見出したことが分かる歌詞が多かったので、気持ち的に「吹っ切れた」というふうに解釈することができるかと思われたのです。そして今回のろけろで歌っていることは、おそらく「GUILTY」の頃からの悩みに対する答えなのではないかと思われます。それが「吹っ切れた」ことなのかどうかは分かりませんが。ただあの頃の悩みは既に通り過ぎたものかと思われます。なぜなら浜崎さんは「Don't look back」にて、「誰もが思い出すのは一番輝いてた頃の自分」と言っているからです。……というか、この部分だけを見るとすごく悩んでいるように思われるかもしれないですけど、このフレーズの後に「それは悲しすぎるわ」って言ってるんですよね。そして何より、こういったことを直接歌詞として口に出している、という点が非常に大きいと思ってます。個人的な解釈では、「GUILTY」の時には直接口にすることができないくらい思いつめていたけれど、今ではそれを口にして誰もに聞いてもらえるほどの余裕が出てきたのではないか、と感じてます。だからこのアルバムは「Microphone」から始まっているのではないかと。そして「GUILTY」に比べると全然明るい雰囲気ですしね。ただ私にとって「GUILTY」はものすごく好きなアルバムですけどね!!

「つーか吹っ切れたって意味ならネクレベで既に通り越してんじゃね?」という意見もあるかと思われますが。ネクレベは新たな試みの一つとしての形ですから、たぶんそういう悩みとかより「新しいもの」にこだわった部分の方が大きかったから、そういった影が見えてくることは少なかったのでは、と思ってます。ただし「rollin'」は除く。ネクレベって改めて聴いてみたら、非常に強い意志の曲ばかりですよね。ただし「rollin'」は以下略。……いや、本当に「rollin'」って謎な曲ですよ。表面ではすごく楽しそうに歌ってるのに(ライブではピースとかしてたし)、歌詞は全くと言っていいほど楽しそうじゃない。むしろ全てに対して嘆いているかのように聞こえるのに、メロディが楽しそうだから実際どうなのか分からない。こういう曲って初期の頃、もっと言えば「LOVEppears」の楽曲に似てるなー、なんて思ってました。そういう意見は一つも聞かなかったですけどね(笑)。

また話が脱線したところで、ろけろの話題に戻ります。ろけろでの心境が「吹っ切れた」ものだとしたら、あの暗くて暗くて仕方がない「count down」も違って聞こえてきますね。それは一つの強い意志のように聞こえます。そんな感じでアルバム全体を通して聞いてみると、なるほど確かに「NEXT LEVEL」よりネクストレベルに突入している気がしなくもない。そして浜崎さんの楽曲を聞く時についつい考え込んでしまう「この視点は浜崎あゆみなのか、それともあゆなのか」という点では、わりと今回分かりにくいですね。「Microphone」とか「BALLAD」なんかは分かりやすいけど、「Last Links」なんかは二人ともが入っている感じがするんですよね。実際、二人が合体したような感じの視点ってのも有り得ると思うんですけど、そういうのって滅多にないですからね(ただ「RED LINE」はそうだと思う)。こうして考えてみると、なかなかはっきりした答えが見えてこない、味わい深くていいアルバムだと思います。

という辺りで今回は終わりにしておきましょうか。

 

 

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