浜崎あゆみ「again」感想

 

 

  連続リリースの第二弾であるミニアルバム「again」。最初は特に感想を書く予定はなかったんですが、予想に反してとても濃い内容だったので感想を書いてみようかという気分になりました。
 まだほとんど聴き込んでいない状態での感想なので、これが正解とは限らないし、今後この意見が変わっていくことも大いにあり得るかと思われます。ただこの感想を読んだ方が少しでも浜崎さんに興味を持っていただければ、と思って書いていきますので、お暇な方はぜひ読んでやってください。
 なお、今回はミニアルバムなので新曲の感想のみを書かせていただきます。

 

01. Wake me up
 まずは一曲目。CMに使われてたので今回のアルバムの中では一番最初に聞く機会があった楽曲ですね。第一印象としては「なんか格好いい感じの曲」というイメージでした。そして歌詞に耳を澄ませてみると「砂の城」という単語が引っ掛かり、ファンの方なら誰しもがミスアンのフォトブックにあったあの言葉を思い出したことでしょう。なんのこっちゃ、という方は、まあ、グーグル先生にでも訊ねてみてください。
 わたくし個人としては、この曲は非常にあゆさんらしい曲だなと思いました。おそらく聞く人によって感じるものは違うと思うのですが、私がこの曲から感じたのは悲壮めいたものであり、少なくとも正の感情より負の感情の方が強く感じられる曲だなと思っています。ではなぜそう感じたのか? それこそまさに「砂の城」という単語の使い方が原因ですね。
 あんまりくどくどと説明してると分からなくなりそうなので簡潔に書くと、サビ部分の歌詞については「開けっ広げだけど本当は一歩も入れない」ということじゃないかと感じました。はい、そのまんまですね(笑)。もうちょっと砕いて言うと、「浜崎あゆみのファンになることは誰でも出来ますよ、だけど浜崎あゆみの心の内に入り込むことは誰にもできませんよ」というもののように感じ取ったということです。そりゃ当然あゆさんはファンを大事にする方なので、あゆさんの心の内にファンの声は響いてないのかって疑問は愚問です。ただあゆさんだって一人の人間なんだから、どうしたって本人にしか理解できないこと、本人しか知らないことはあるわけです。そしてそれを誰かに伝えようと言葉にしてみたとしても、それを受け取った人間がどう理解するかまでは操ることができませんよね。一片の狂いもなく自身の思いを伝えることはあゆさんに限らず誰にもできないことです。その辺のことについては、ミスアンあたりでもテーマにされてたような気がしますが……ところでこの曲、タイトルは「Wake me up」なのに歌詞の中では「wake up」としか言ってないんですよね。この「wake up」の対象は誰なのかってことを考えると非常に面白いです。何がまだ間に合うのか? ほんの少しでも傷が浅いうちにどうするのか?
 あとなぜこの曲があゆさんらしいと感じたのかというと、ほら、あゆさんって明るい曲調なのにすんごい暗いこと言ってる曲が結構あるじゃないですか。この曲に関してもそれと似たものを感じたからです。特に「泣いてなんかない」という部分がそれっぽさを強調しているような。……余談ですが、私はこの部分を見て「べっ別に泣いてなんかないんだからね!!」という謎のつんでれを想像してしまいました。ぐはぁ。

 

02. Sweet scar
 二曲目です。この曲はメロディより歌詞よりまずPVが印象的でした。というかあゆさんが可愛すぎて呆然。なんてことはどうでもいいですが、曲自体は決して派手ではないけど温かさと冷たさが込められた綺麗な曲に仕上がってますね。なかなか好きなタイプの編曲です。
 この曲を聞いた印象としては、あゆさんの曲で特徴的な「表面的には幸せそうだけど実際は何らかの暗闇を抱えている」というものなんじゃないかなあというところです。でもだいたいそういう曲っていつも背伸びをしてたり、どうにか頑張って、という感じのものが多かったんですが、この曲の「僕」からはそういう印象を受けませんでした。もちろん何らかの傷跡(scar)は抱えてるんだろうけど、どちらかというとこの「僕」はその傷跡を受け入れ、それを乗り越えた後の心境なのではないかと。ただやっぱりこの曲も「二人」の幸せな未来を想像させるものではなく、「僕」の自己犠牲的な何かを感じるような。そう思えるのはたぶんPVを見て感じたものがそうだったからなんでしょうけどね。
 なんというかこの曲のPVに出てくるあゆさんからは自我があまり感じられなかったのです。おそらくあの空間にはあゆさんの他にもう一人誰かがいると思うんですが、PV内のあゆさんはその人の為にそこにいるように思えました。そしてもう一つ気になったことがあって、それはあゆさんが絵の前に立つ前(椅子から立ち上がる時ですね)、なんだか悲しそうな表情になってるような気がしたんです。そしてそのすぐ後に絵の前に立つわけですが、そこで妄想大好きなわたくしが何やら唐突に思いついたことは、「このあゆさんは絵の中の人物なんじゃないのだろうか?」ということでした。実を言うとわたくし、MOONのPVでも似たようなことを妄想してました(笑)。絵の中の人(実際にいない人)だから降ってきた雪が見えたのかもしれない。相手の姿が全く映らなかったのかもしれない。そして最後に扉の外へ出ていく理由。その辺を考えているとまたぐるぐるしそうな映像作品でした。

 

03. snowy kiss
 三曲目ですね。小室さん曲です。初めてこのアルバムの全曲を視聴した際、一番びびっと来たのがこの曲でした。そして全体像を聴いた感想とすると……とにかく編曲がどツボでした。じっくりと細かな音を聴いているとかなり楽しいです。まず何よりベースが気持ちいい。ここまでベースが前面に出てくる曲ってあゆさんの曲では珍しい部類じゃないでしょうか。そして間奏がかなりツボ。勢いはもちろんあるのに、そこから続くラストサビへ向けての切なさが素晴らしすぎるという。
 歌詞については、まだまだ聴き込まないと何とも言えないなぁという印象です。個人的に気になったのは「次の迷える誰か」というところですね。あとこの曲のPVはどう見ても夏なのに(海とか出てるし)、タイトルに「snowy」があったり「雪」が出てきたりしているのも気になります。普通に考えるとこの「雪」をそのまま雪として見るのは間違いってことですよね。いわゆる別れをテーマにしている曲だからその冷たさを雪と表現してるのかなぁと考えたりもしました(もしくは雪の後に訪れる春を予測しての単語かなとか、雪の冷たさで別れの冷たさを紛らわせようとしているように見えなくもないとかいろいろ)。まあ少なくとも安直な恋愛の曲ではないと思います。ファンをやめる人に向けた曲という聴き方もできますね。
 なんか語ることは少なくなっちゃいましたが、個人的にはかなり好きな曲です。ラブソの時も思ったけど、なんだかんだで小室さんはいい曲作りますね。

 

04. Ivy
 四曲目。とりあえず新曲としてはこれが最後の曲となりますね。これも小室さんの曲です。この曲は一部視聴→歌詞の順に見たんですが……歌詞を見た瞬間、首を絞められた心地がしました。いや冗談抜きで、一時でもあゆさんを疑った私自身が恥ずかしくなったんです。
 この曲はとにかく歌詞が前面に押し出されてる印象ですね。メロディとか編曲とかももちろん好き嫌いが分かれるだろうとは思うのですが、それらが霞んでしまうくらいとにかく歌詞が強い。強いと言っても歌詞の内容が強いって意味じゃないですよ。歌詞だけでも充分に人の心を揺さぶる力を持っているように感じられたのです。曲って本来メロディと歌詞とがいい塩梅で混合されて初めてその曲の色というか特徴というかが作られるものだと思うのですが、それがこの曲に限っては歌詞だけで色ができてるなぁと思ったんです。いや、私はメロディも編曲も好きなんですけどね。
 とにかくこの曲の歌詞は一つ一つがいちいちがつんがつんと心に来たので、それを全て書いてると大変なことになると思うんで、まだ聴いてない方で気になった方はぜひとも聴いてみてください。といってもたぶんこれはファン向けかなあと思いますね。個人的にはここでの「君」はつい先日騒動になった彼氏さんじゃなくファンのことだと思ってます。なんというか、本当に、偽りのない等身大の浜崎あゆみって感じですかね。今私はこういうことを思っていますよ、というストレートな曲だと思ってます。
 曲全体として見ても好きという感情を越えて特別な感じがするものですが、特にラストの歌詞は読んでて「うわあああ」となりました(笑)。「自分自身さえ幸せに出来ずに〜」というところもそうですが、「長いとは言えない人生の中で〜」というところが特に好きです。「ああもう、本当にそうだよ! その通りだよ!!」と心の中で何度も頷いてしまいましたとも。こういう歌詞が出てくるからあゆさんって大好きなんですよ。考え方とかもそうですけど、私は彼女の言葉の使い方が好きなんですよね。ちょっと前で言えば「reminds me」での言葉の使い方がどツボでした。


 まとめ。Wake me upはロックな迷走曲。Sweet scarはPVの世界観がツボ。snowy kissは編曲がツボ。Ivyはメッセージ性の強い曲。というわけで、結局どの曲も同じくらい好きになったわたくしでありました。やっぱり褒めまくりなのはファンだから致し方ないということで許してください。笑

 

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