49

 信じること。
 裏切ること。

 

 向かった先に立っていてほしかったのは、美しい光景だったかもしれない。しかしそんな夢のような話が現実にあるわけがなかった。どれほど欲しいと望んでも手に入らないものがあるように、現実が自分の思うように進んでくれるわけがなかったのだ。それさえ知っておきながら、これ以上何を望むというんだ? いつだってそうやって生きてきたはずなのに。
 流れ始めたらもう止まらない。勢いを増す時間は俺の思いも知らぬまま、あるべき方向へと皆を導いていた。
 暗闇の向こう側、目をこらした先に見えるのは、少しだけ見慣れた懐かしい顔だった。
「ルイス?」
 誰かが相手の名を呼ぶ。名を呼ばれても、相手は動きを見せなかったけど。
 なぜこんな場所に相手がいるのか知らないが、これまでのことを考えると、それを聞いたところで答えが返ってこないのは明白なことだった。これを穏やかに解決する方法なんて、はたして本当に存在したのだろうか?
 俺の予想通り相手は黙っていた。黙ったまま立ち尽くしていた。それは明らかに俺の知っている相手であり、また俺の知らない相手でもあった。
 兄さんはルイスを前にして少し立ち止まったが、相手が何も言ってこないのを見ると、さっさといつものように歩き出してしまった。何もしてこないのなら問題ないと思ったのだろう。あくまで自らの目的を最優先して、他のことはさして問題とせず、ただ一つの道をゆっくりと歩いていくだけ。その目に映っているものは、幻影のように揺らいでいるのかもしれない。これ以上の何ものも通さない壁が、彼の中にしつこく巣食っているのかもしれない。
 そうやって通り過ぎようとしたって、俺はルイスを知っているから、うまくいかないことだって分かっていた。
 ルイスは兄さんの歩を止めた。彼の道の邪魔をした。そんなことをしたら、怒られると分かっていながら? さあ、どうだろうな、俺だってそこまでは分からない。
 たった一つの動作、手を相手の前に広げるだけ。それだけで兄さんの歩を止めたルイスは、いつものあの黒いフードを被ってはいなかった。そのため顔が露出している。よく見てみると、そのフードは下のマントと繋がっていて、フードの部分だけが無理矢理引き裂かれたような跡が見えた。
「邪魔をするのか?」
 短い脅迫的な言葉を吐き出し、兄さんは細い目で相手を軽く睨んだ。それはどこか苛ついているように見える。もしかしたら焦りから出てきているのかもしれないけれど、今の彼の顔を見ると、誰もがはっとするほどにそれは怒りに近かった。
 ルイスは少し怯えたようにまばたきをした。何か言おうとしているのか、口が開きかけている。それでもその先の段階へ進むことはまだ困難であるようで、そのままの状態でもどうにかできると思っているように見えた。
 これをどうにかするにはこのままじゃいけない。それは誰にだって理解できるはずだと思うけど、あいつは本当に分かっていないのだろうか? それとも、それすら分かっていながら、誰かがどうにかしてくれると待っているのか?
「邪魔をするというのなら、容赦はしない」
 兄さんはさらに追い詰めるように言う。それは普段通りだった。
 鋭い言葉を投げつけられたルイスは手を下におろした。俺たちが奥へ行くのを許してくれるのだろうか? いや、まさかそんな、簡単に通してくれるわけがないだろう。だってあいつはルイスなんだから。
 ぼんやりと相手の様子を観察していると、突然目が覚めたようにルイスの表情が変わった。どこか真面目そうな、厳しい表情をしている。途端に黒いものが現れ始めた。いつも視界の端にちらついていたあれだ。それらはすごい勢いでルイスと兄さんを包んでいく。一瞬何事かと我が目を疑ったが、その黒いものはルイスと兄さんに吸い込まれるように集まっているだけだった。特に悪いことをしてるようには見えない。なんだ、見かけ倒しか? いかにも健康によくなさそうな物体なのに。
 そうかと思うと今度は眩しい光が放たれた。明らかに誰かが魔法を使った臭がする。光が消えた後に確認すると、ルイスは変わらない立ち位置で兄さんを睨んでおり、レーゼ兄はどこからか持ち出した杖を片手に俺とキーラの前に立っていた。ということは、ルイスが魔法を使ったのだろうか?
 過去の人と未来の人。その二人が今まさにぶつかり合おうとしている。理由はどこにあるのか分からないが、兄さんのものだけはやけにはっきりとしていた。
 先ほどから見え始めたあの黒いものは、ルイスの魔法により一時的に吹き飛ばされていたらしい。しかしすぐにまた二人の姿を包むように集まり、俺の視界の邪魔をし始めた。
 なんでいつもそうやって邪魔をするのか、なんて考えていられるほどの余裕が今はなかった。どうしてだか分らないけど、ルイスは俺たちをこの先へ行かせたくないらしい。だったらそう言ってくれればいいのに、黙ったままの相手は、ただ俺たちに向かって派手な魔法を放つだけ。それを相殺しているのは兄さんの魔法で、俺とキーラは驚きつつも、いつまで続くか分からない二人の戦いをただ後ろから見物していた。
 そんな永遠とも思われる戦いに変化が訪れたのは、一つの介入があってからだった。
 俺の後ろの方から足音が聞こえた。それに気づいて振り返ると、そこにはあの魔法王国の女王様が立っていたんだ。
 びっくりして女王様の顔を見ていると、彼女はすっと片手を上げ、ルイスと兄さんのちょうど真ん中あたりを爆発させた。
 一瞬にして沈黙が訪れる。でも、もしかしたらこれは、とても良い展開なのかもしれないぞ。
「おい、ルイス!」
 この静寂を利用しない手はない。俺が呼びかけると、ルイスは怯えたような目でこっちを見てきた。いや、そこまで怯えることないだろ。それちょっとショックだぞ。
「お前は一体何がしたいんだよ。俺たちをこの奥へ行かせたくないってのは分かるけど、その理由は何なんだ?」
 理由も分からず追い返されるのは我慢できるようなことではなかった。だからせめてそれだけでも聞かせてほしい。それさえ叶えば、その理由がどれほど理不尽なものであろうと、なんとなく納得できそうな気がするから。
 それなのにルイスは黙っていた。何か言いたそうだけど、悲しげな目でこっちを見るだけで、言葉なんて一つも口から出てこなかった。
 何なんだろうか、これは。
「その者がこの先の道を守っているということは、この先に何か大事なもの――つまり、ルピスがいるということなのだろう」
 すっと俺の前へ出た女王様は前に見た時と同じ表情をしていた。少し自信がありそうな、何かを確信している強い顔。レーゼ兄さんは女王の姿を確認してからはずっと立ちつくしていて、完全に自らの意思を捨て去っているように見えた。兄さんの意思は女王の意思。彼は自分で勝手に、そうやって決めつけているのだろうか。
「レーゼ、鍵は?」
「手に入れました」
「ならばお前は行け。ここは私が足止めをしておこう」
 俺の前で短いやり取りが行われる。
 女王様が足止め役だって? 普通なら部下がする役割なのに、この人は一体なんでこんなことを言ってるんだ?
「来い」
 はっとするとレーゼ兄が俺の手を引っ張っていた。そうか、鍵を扱えるのは俺だったんだよな。だけどこのままルピスの封印を解いてもいいのだろうか? だってルイスの奴、なんだかとても悲しそうに見えるし――。
 兄さんに引っ張られて奥へ進んでいく。キーラも後ろからついてきていて、もう何もかもがうまくいき、心配することなどなくなったかのように思えた。本当は心配することがありすぎるくらいなのに、そんなものなどすでに過ぎ去ってしまったかのように皆が振る舞っている。それについていけない俺はおかしいのだろうか。突然ルイスのことを気にしている俺は、何か間違ったことを考えているのだろうか?
「待て!」
 背中から浴びせられた、怒声のような大声にぴたりと足を止める。兄さんは立ち止まらなかったけど、俺が止まったのに気づいて静かに足を止めた。
「行くな、ルピスを復活させてはいけない!」
 それはエーネット姐さんの声だった。
 なぜ? どうしてここに姐さんがいる? あの人は今は、ラットロテス大聖堂にいるはずなのに。それに、何だって? ルピスを復活させてはいけない? それを伝える為にここへ来た? それを伝える為だけに、こんなところまで来たってのか、姐さんは?
 衝動的に立ち止まってしまった俺の手を兄さんは強い力でぐいと引っ張った。彼はどうしてもルピスを復活させなくてはならなくて、ルイスはルピスを復活させまいと邪魔をしている。そして女王様はレーゼを支持し、エーネット姐さんはルピス復活を阻止しようとここまで来た。じゃあ俺は? 俺はどうすればいい? 俺は何を、誰を信じればいいんだ? どちらの側につくことが、本当に『正しい』ことなのだろうか?
 考えたって分からなかった。いいや分かるわけがなかったんだ。だって俺は何も知らないから。呆れるほどに無知なガキだから。
 そんな俺の手を兄さんは容赦なく引っ張っていく。ああ、ちょっと待ってくれ。俺にもう少し考える時間を与えてくれ。俺はあのルイスの目を、エーネット姐さんの声を無視するというのか。そんな、そんなことをして、本当に俺は後悔しないでいられるだろうか。また後になって苛まれるようなことがないと、本当に腹の底から言い切れるというのだろうか?
 苛まれる、そう、そうだったのに。俺は何の為にここへ来た? ヴィノバーを、あの可哀想な修行僧の青年を助ける為にここへ来たんだろ。このままルイスや姐さんに従って引き返したなら、彼を助ける為の手段を永久に失ってしまうんじゃないだろうか? そうしたら、俺はもう、一生あの言い様のない後悔に苛まれ続け、過去よりひどい人間になってしまうのではないだろうか。それでいいのか? 皆はそれに頷き、俺はそれを許せるだろうか?
 皆が認めてくれなければ。俺が許せなければ。
「何をしている、早く来い!」
 怒った声が俺を現実に呼び戻す。気がつけば俺はまた立ち止まっていたらしい。目を細くしているレーゼ兄は俺の手を握り、さっきよりも強い力で乱暴に引っ張ろうとしていた。でも俺の足は鉛の足枷をつけられたように重く、動かそうと思っても俺の意思はただ虚しく、闇の中に消え去るばかりなのであった。
「こんなところでぐずぐずしている時間などないんだ、邪魔が入る前に早く――」
「待ってくれよ、レーゼ兄!」
 ようやく絞り出せた声は兄さんの言葉を遮断するものだった。兄さんは怒ったような鋭い目をこっちに向けていた。そんなことをされたって、俺は困るだけだった。でもそれ以上に俺は俺を守らなければならなかった。
 人間って、自分を守る為なら何だってできるんだと思う。だから。
「なあ、本当にこのままルピスの封印を解いても平気なのか?」
「それが女王の命令だ」
「それは……あんただけの問題だろ。でもルイスもエーネット姐さんも、ルピスを復活させちゃいけないって――」
「そんなことはどうでもいい」
 想像以上に兄さんの意志は固かった。この人は、俺がどんなに諭しても、他の誰かがどれほど忠告しても、女王の言葉以外はすべて聞き流してしまうんだろう。それはもはや完全であり、また絶望的でもあった。
 俺ではどうすることもできない圧力が確かにそこにあって、それを破壊しない限りは俺は自由になれないようだった。しかしそれを壊そうと思っても、固よりどうすることもできないんだから、どれほど足掻こうと無駄なことで、ただ兄さんとの距離がますます大きくなっていくだけだった。
 そんな理由から、俺は動けなかった。俺を助けてくれる人などどこにもいない。何か一つでも本当のことを教えてくれれば、あるいは状況が変わっていたかもしれないのに。鉛のように重くなった足はこの先へ行くのを渋っているようで、なんだかそれが他の何よりも正しい選択のように思えた。
 それでも兄さんは許してくれなくて、ついに俺の足は動き出した。一歩、二歩と、よろめきながら引っ張られていく。
『明日、ルピスの封印を解いてみて、それから考えてみればいい。――』
 ああ、そういえば俺、そんなこと言ってたっけ。封印を解いてから考えればいいなんて、まるでガキみたいな馬鹿げた提案。……どうかしてるよな。あの頃はまだ先のことだと思って、少しも真剣に考えていなかったのに、いざ問題が目の前に来てみると急に慌ててる。あまりに単純すぎて涙が出そうだ。もう、誰でもいいから、俺を助けてほしい。

「豊……」

 はっとした。びっくりした。俺の本名を呼ぶ声が聞こえたから。
「白石、豊」
 声の主は俺の腕を掴んでいた。俺の後ろから、これ以上先へ進ませまいとして。
 ゆっくりと視線をそちらへ向けていく。
「ルピスを目覚めさせないで」
 深く深い、深淵のように濁った青い目が、俺の顔を見上げている。
 ルイス。
 そう、それは、確かにルイスだったんだ。
 俺の腕を掴んでいる手が震えている。まるでなけなしの勇気を絞り出して、ようやく口を開いたかのように。
 笑うことすらできない子どもが、雨に打たれて泣いている。
 それは何だった? それは俺の。
「なぜ?」
 俺の中の闇が嗤っている。
 ルイスは答えなかった。答えられるはずがなかったから。
 ふっと体じゅうの力を抜き、俺は自然に身を任せた。兄さんに引っ張られ、何の抵抗もなく歩いていく。力を失ったルイスの手は俺の腕から簡単に離れた。最初で最後、相手の俺に対する願いは、あまりにもどうしようもないものだった。
 どんどん遠ざかっていくルイスの姿をじっと見ながら、俺は自分の無力さを静かに思った。その時々によって変わるもの。その状況に応じて変えられるもの。無意識だとか意図的だとか、そんなことはもう関係なくて、ただ変わったという事実だけが存在し、自分たちをその渦中へと導いている。これを人は何と名づければいいだろう? そこにはもう光なんてなく、深淵だけが大きく口を開き、俺が堕ちてくるのを今か今かと待ち構えている。そして全ての力を抜いた今、穏やかな心持ちを拾った俺は、自分の足でその深淵へと静かに歩み寄っていた。
 一歩進むごとに闇が深くなっていく。それはどこか世の果てのように見えた。
 光の意志と呼ばれるルピスと、闇の意志と呼ばれたルピス。その二つが同じものなのか、異なったものなのか、そんなことは目覚めさせてみなければ分からない。分からないけど、目覚めさせたらもう何もかもが手遅れになっているかもしれない。ルピスを復活させればヴィノバーが助かる。でも相手が闇の意志だったなら、世界が崩壊する危険性がある。いずれにせよ、その為の鍵を握っているのは俺だけ。たった一人きりで、この全てのものの、責任を負えと言いたいのか。
 それって耐えられるだろうか。俺に耐えられるだろうか。なんにも知らないままに封印を解き、なんにも知らないまま世界を見捨てたなら、無知すら罪に問われそうで怖い。「失敗を恐れるな」とはよく言われたことだけど、その失敗が取り返しのつかない事態を招いたなら、それってもう何の意味も持たないのではないだろうか。一方的に俺が悪くて、一方的に皆に責められてしまうのではないだろうか。――なんだ、そんなことが、恐れるべきことだというのか。これまでだって様々な恐れるべきことにぶつかってきたというのに、今更何をそんなに怖がっている?
 俺は何の為にここへ来た? あいつを助ける為に、元の姿に戻す為に兄さんの誘いに乗ったんだろ。そこにほんの少しでも希望が見出せるのならば、俺はこのまま先に進むべきなのだろう。……だけど、とどうしても考えてしまう。このまま進むことは本当に正しいのか? つまらないことばかりが溢れている。それはあいつの、ルイスのあの声を聞いてしまったから?
「それでも」
 道が途切れた頃、三人は立ち止まった。
 先に見えるのはもはや暗闇だけ。
「それでも俺は、ヴィノバーを助けたいんだよ」
 ぎゅっと鍵を握りしめる。
 濁った迷いだらけの告白は、紛れもなく俺の意思だった。

 

 +++++

 

 気が遠くなるほどの時間が流れ、今のこの形を作り出してきた。
 様々な人間の想いや願い、理想や妥協、許容や感情が、この全てに淡く、だが鮮明に映し出されている。
 そして続いていく時間の中で、人々はこれまでと変わらない営みを、時と共に継続してゆくはずだったのだろう。
 だけど今、この瞬間。全ては終わりを受け入れないまま、始まりへ向かう速度で回っている。

 

 黒い、闇よりも黒い景色が俺の左右で流れている。
 ふと振り返ってみると、流れ去った景色が外へ向かって崩れ落ちていた。ばらばらになって、一つの箱、一つの粒となり、やがては目に見えないほど細かくなる。そしてそれらがどこかへ消えると、その向こう側は完全な『無』となった。
 無とは闇ではなく、また光でもない。ちょうどそれら二つが合わさったような、ぼんやりとした灰色に似た色合いをしている。
 これが無。知らなかった。
 ここから全てが始まっていき、あの全てを作り出してきた。その全てが終わった時に戻るべき場所は、他でもないこの『無』の空間なのか。そして新しいものはここから生み出される? 破壊が終わったなら、再び何かが創造されるのか?

 

『やっと、陽の光を見ることができた』
 聞こえた声は美しかった。
『私の封印を解いてくださったのは、あなた方ですね?』
 あの時、頷かなければよかった。
『そうだ。お願いだ、こいつを元の姿に戻してやってくれ』
 純白のドレスに輝かしい金髪。俺の鍵によって目覚めたルピスは、とても美しい女の人だった。
『ええ、構いませんよ』
 微笑む顔は慈愛に満ちていて、彼女は紛れもなく光の意志だと思った。
『しかしそれはもう必要のないことです。私にはやらなければならないことがある。そしてそれを成し遂げた時、あなたの願いは本当の意味で叶うでしょう』
 何を言っているのか。何が起きようとしているのか。
 それさえ分かったなら、俺はもっと普通でいられただろうか。
『ああ、そこにいるのですね、ルイス。だけどどうしてそんなに悲しそうな顔をしているの? 私がいるから安心して。あなたはもう、なんにも悩む必要なんてないのだから』
 再びルピスが微笑んだかと思うと、闇の景色が動き始めていたんだ。

 

『この世界を無に戻さなければ。それが私の使命だから』
 そう言ったルピスはそっぽを向いて、もう俺の姿など見てはくれなかった。
 世界の破壊が何の戸惑いもなく進んでいく。そんな流れの真ん中で、俺とキーラは立ち尽くしていた。だけどいつのまにか一人きりになっていて、ルピスもルイスも見えない無の中で、何もできないまま翻弄される人のように呆然と立っていた。
 そんな中で見せられたのは無の姿。全ての源であり、全ての帰るべき場所である無。
 それに触れた刹那、俺は何か懐かしい感触を覚えた。それは全ての源だったから? 俺たちは、全てそこから生まれてきた一つの命だったから?
 考えがまとまらないうちに終わりはやってくる。
 やがて黒い景色は全て崩れ、世界は完全なる無となった。

 

 

 

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