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 平穏な生活というものは恐怖を忘れさせるものである。
 何の危険もなく、ずっと何の事件にも巻き込まれずに平凡でいられる。
 俺は心の底からそれを望んでいた。
 だが今は、その思いさえも忘れかけようとしているのだった。

 

第二章 非平凡再び

 

53 

「平和だなぁ」
 のんびりと空を見上げながら一人呟く。
 ここは学校の校舎の中。俺は今、学校で勉強しているのだ。これがどんな意味を持つかお分かりだろうか。
「平凡だよなぁ」
 そう。こうすることができるということは平凡でいられるということである。
 いいよなぁ平凡って。何もせずにこんなにのんきにしていられるんだから。それに誰にも文句言われないし。最高だな、最高。
「何をのんきにぼけっとしてんの?」
 そうかと思ったらいきなりこれだ。再び平凡を奪われたようで腹が立ってくる。
「なんだよ。別にいいじゃんか、ぼけっとしてたって」
 目の前に立っているのは外人だった。リヴァセール・アスラード。俺を平凡から遠ざけていった張本人である。相変わらずのすまし顔で俺の前の席に座ってくる。人の席だろそれ。
「暇だね」
「俺は暇がいいんだ」
 まったくこいつとは気が合わない。そのくせに何かと俺につきまとってくるのだ。誰かどうにかしてくれ。
「ジェラーから何か連絡あった?」
「いや、何も」
 扉を開くことを調べているのは異世界からの客であるあの三人である。その中でも一番行動しやすいジェラーが状況を報告してくれることになっているのだが、一週間以上経過しても何の連絡もない。さすがにこれではどうなっているのかさっぱり分からない。少しは何か分かっただろうか。
「じゃあ、行ってみる?」
「行くって……」
 あの三人の所、つまり師匠の家に行くってか。
 でもなあ。
「どうやって行くつもりだよ?」
「そりゃあ呪文で」
「駄目だ」
 きっぱりと断っておく。
 外人はまだ事の重大さが分かっていないのか、すぐに呪文を使いたがっていた。使ったら駄目だと言っても文句が飛んでくる。使ったらいけない理由はこの世界だからという理由もあるけど、こいつ自身のためでもあるんだから少しは理解してほしい。
「だったらラザーに頼もう」
「はぁ?」
 諦めてくれたかと思えばこれだ。そんなに行きたいなら一人で行けばいいじゃねーか。俺を巻き込むなよ。
「でもラザーって呪文とか使えるのか?」
 それ以前にまだあの人には慣れてないのに。なんだか近づきがたい雰囲気を持っているので、学校で会っても少ししか話をしたことがなかった。そんな相手に頼めるだろうか。
「大丈夫だよ。ラザーは君より遥かに多い魔力を持ってるんだもの。ぼくが頼んでくるよ」
「えっ、ちょっと」
 呼びかけるが無視される。外人は立ち上がってすたすたと教室から出て行ってしまった。
 そして数秒後にはちゃんと戻ってきた。なんて早いんだよ。いくらなんでも数秒はないだろお前。
「いいってさ。ほら、早く行こう」
「あのなー」
 外人は俺の腕を掴んで引っ張ろうとする。しかし忘れてはならない、今は学校の休み時間だということを。俺を不良にする気かこいつは。
「後ででいいだろ」
 そう言って相手の手を振りほどく。この動作にもすっかり慣れてしまった気がするのは気のせいだろうか。
「うーん……じゃあ学校が終わってからね」
 なんだか文句がありそうな顔をしていたが相手は納得してくれたらしい。それっきりその話題には触れずに、他愛のない会話が始まっていく。
 忘れてはならないこと。それは本当はもっと他にあったのに、俺はすっかり忘れてしまっていた。
 だが、このことに気づくのはもう少し先の話である。

 

 放課後。俺はリヴァに連れられて学校から離れた空き地に向かった。そこには白銀の髪を持つ青年の姿が見える。ラザーラス・デスターニス。師匠の家に住んでいる異世界の住民である。
「遅い」
 どういうわけかラザーはご機嫌斜めだった。腕を組み、目が吊り上がっている。視線が痛い。
「す、すみまへん」
 俺は反射的に謝ってしまった。ぺこりとお辞儀を一回。
「さっさと行くぞ。ほら、早くこっちに来い」
 慌てて青年の元へ近寄っていく。床にはすでに光を放っている模様が描かれていた。その上に全員が乗るとラザーはしゃがみ込み、模様の中心を手で押さえる。
 光が大きくなった。
「初めに言っておくが俺が使うのは呪文じゃないからな」
「え? なんだって――」
 ラザーの言葉に疑問を覚えるも、眩しくなった光によって視界は完全に遮断された。そして気がつけば見なれた小屋が目の前にある。
 どういうことだよ、呪文じゃないって。呪文じゃないなら何なんだよ?
「なあ、ラザー」
「詳しいことは師匠に聞いてくれ。俺に聞くな」
 聞こうと思ったらそんな言葉が返ってきた。それだけを言うとラザーは小屋の扉を開け、中へと足を踏み入れる。
「仕方ない。俺らも行こう、リヴァ」
 隣にいる外人に話しかける。しかし外人は地面に座り込んでいる。
「……何やってんだお前」
 不可解でならない。相手の意図がさっぱり理解できなかった。なんで家の前に来て座り込んでんだよ。
「だ、だってびっくりしたんだもの。あれは、あれは精霊から力を借りることのない呪文……いや、呪文じゃなくって魔法だ」
「は? 何だって」
「腰が抜けた……」
 何を言い出すのかと思いきや。ああなるほど、だから座ってるのか。それについては納得できた。
「って、じゃあ立てないってかよ!」
「そうなるねぇ」
 そうなるねぇじゃねえよ。
 誰かこいつ何とかしてくれ。これじゃあ俺の平凡もいつになっても消えやしないだろ。
「ったく、仕方ないなぁ」
「ごめんね樹君」
「いきなり君とか付けんな!」
 結局こうなるんだな。
 俺はまたしても外人を背中に背負う羽目になった。この構造にも慣れてしまい、ますます平凡から遠ざかっているような気がしてならなかった。

 

「あれ、樹だ」
「おぉ、川君にアス君じゃないか。どうした?」
 小屋の中で出迎えてくれたのはアレートと師匠の二人だった。机を挟んでのんきそうにお茶を飲みながらこちらを見てくる。しかし他の人たちの姿はない。
「あのー、ジェラーは?」
「藍君? 彼ならお嬢ちゃんを連れてどっか行っちまったけど」
 藍君にお嬢ちゃん? それってまさかジェラーとロスリュのことか? ニックネームとか付けて怒られないんだろうか。
 手に持ったお茶を一口飲み、師匠は湯呑みを机の上に置いた。そしてわざとらしく長い息を吐く。
「最近家の中が賑やかなせいか、ラザーの奴の機嫌が悪いんだよ。あいつって昔から人とは馴れ合わない奴だったから。藍君とお嬢ちゃんだけじゃなくって俺やアレートちゃんも家をあけることがあるんだ」
「ふぅん」
 だったらあの二人は気を遣って外出してるってことなのか? そんな風には思えないんだけどなぁ。しかしなんで師匠はアレートの名前だけはちゃんと呼んでるんだ。それって不公平じゃないのかよ。
「それよりアス君はどうしたんだ?」
 片手で湯呑みを持ちながら師匠は聞いてくる。どうした、と言われても。
「腰抜かしたんだとさ」
 正直に答えてやった。だってそうとしか言えないだろ。今から嘘を作るわけにもいかないし。
 俺は外人を床の上におろした。相手はまだ腰を抜かしているのか立ち上がれないらしく、そのまま床の上に座り込む。師匠は椅子を引いてくれたので俺はそれに座った。アレートとは向かい合う形になる。
「そうかラザーが魔法を使ったんだな。それでびっくりしたんだろ。正解?」
「え? えっと、まあそんなとこだと」
 まるで何でもお見通しだと言わんばかりに師匠は言い当ててくる。だけどそのおかげで聞きやすくなった。
「あのさぁ。呪文と魔法って何が違うんだ?」
 師匠はお茶を一口飲む。気づけばいつのまにか俺の前にも湯呑みが置いてあった。
「まあ簡単に言ってしまえば精霊から力を借りるかどうかってことだ。力を借りるのが呪文、借りないのが魔法。呪文は詠唱をしなければならないけど魔力が少なくても扱える。魔法は詠唱はなくても使えるが魔力が高くなければコントロールできない。それに何年か前に魔法は世界から衰退していったんだ」
 お茶を飲みながら師匠は説明してくれたが、やはりいまいちピンとこなかった。俺って魔力がないから呪文だの魔法だのには関係ないんだもんな。
 しかし師匠の話ではっきりと分かったことが一つだけあった。
「だったらラザーは高い魔力を持ってるんだな」
 さっき自分で魔法だって言ってたもんな。魔法は高い魔力を持ってないと使えないらしいから、それだけは俺にもよく分かった。
「まあそれは間違っちゃいないけど。けどあいつも修業しなけりゃ今でも魔法なんて使えなかったさ。持っている魔力がいくら大きくても、その使い方を知らないと宝の持ちぐされってやつだ」
「はあ」
 ってことは何だ? ラザーは修業とかしてたってことなのか。そりゃまたえらい話だな。
 師匠はまたお茶を一口飲んだ。さっきから飲んでばかりである。そんなによく飲めるよな。
「それはいいとして。君らは何しにきたんだ?」
 そう言われてからはっとした。そうだ忘れてた、こんな魔法の話をしている場合じゃなかったのに。
「何か進展があったかどうか聞きにきたんだけど、ジェラーがいないと分かんない、かな……?」
「俺には分かんないなぁ。何も話してくれないから。アレートちゃんは?」
「私は魔法とかそういう話はさっぱりだから手伝わなくていいって言われたきり、何も」
「……ははは」
 はぁ。
 とりあえず聞いてみたものの、ろくな返事が返ってこなかった。これじゃあここまで来た意味がない。でも分かんないって言うしなぁ。どうしようか。
「ってか、アレートって」
 ふと気づいたことを口に出す。
「呪文とか使えるんじゃなかったのか? そうだと思ってたんだけど」
「へ? 何寝呆けたこと言ってるの? 私に魔力はないんだよ。使えるはずないじゃない」
 あっさりとした言葉が返ってくる。俺にとっては初めて聞いたことでかなり驚いてるんですけど。
 少女は表情のない顔で淡々と続ける。
「私が戦ってるところ見たでしょ? 呪文も魔法も使わない。ただ己の体と一本の鍵だけを頼りに私は戦うの」
 一本の、鍵? なんだそりゃ。
 俺の言いたいことが分かったのか、少女は椅子から立ち上がる。そして片手を前へ突き出すとそこへ薄い光が集まり、光は形を作って一つの物を作った。
 それは長い、それこそアレートの身長と同じくらいの長さの金色の鍵だった。少女はそれを片手で持ち、軽々しく机の上に置く。目の前に置かれたそれはかすかな光を放ち続けていた。
「あの、これって魔法か何かじゃないのか?」
 どう考えても魔法か何かを使わないと何もない空間からこんな物を出すなんて芸当できないだろ。確かジェラーも使っていたし、呪文か何かを知らないうちに使ってたとかいうオチなんじゃないだろうか。
「そんなことない」
 しかし少女はそれを完全に否定した。そして同じように淡々と続ける。
「確かに不思議だとは思うけど、誰に聞いてもこれは魔法でも呪文でもないと言う。そうでしょ師匠さん?」
 アレートは俺から視線を外して俺の隣に座っている大人の顔を見る。師匠はまた飲んでいたお茶の湯呑みを机の上に置き、短く答えた。
「そうだな
 ほらね、とアレートは得意げにこちらを見てきた。
 不思議なこともあるもんだな。鍵のこともそうだけど、師匠に言われると妙に納得してしまうあたりもなんだか不思議に思えた。
 アレートは鍵に触れ、すぐにそれを消した。机の上から光が消える。
「ジェラーたちっていつ帰ってくるか分かるか?」
「さあ。いつもばらばらだし」
「そうか」
 最低限の聞いておくべきことを聞いてみても、師匠は気の抜けるような返事しか返してくれなかった。しかし、だとしたら俺ってどうすりゃいいんだ。このまま帰ってもいいけど、それはそれでなんか勿体ないし。
「せっかく来たんだし、修業でもしていくか?」
「……遠慮しておきます」
 師匠のやや迷惑な申し出を断っておく。俺は師匠とは呼んでいるけど決して弟子になったわけではない。そこんところは勘違いしないように。
 まさにその時だった。ちょうど俺の後ろから聞いたことのないメロディが流れてきたのは。
「あ、電話だ」
 振り返ってみるといまだに床に座り込んでいる外人が携帯を見ている。また携帯電話かよ。少しのあいだ外人は携帯を見ていたが、すぐに電話に出て話し始めた。
「もしもし? 何ですか? ぼく今忙しいから後にしてくれませんか?」
 出たと思ったらいきなり嫌そうな声を発していた。なんだ、電話の相手は上官とかいう人じゃないのか?
「は? 仕事? そんなのどうでもいいじゃないですか。それとも何? あなたはぼくを極悪非道な殺人鬼にでもしたいんですか? ぼくの上官だからって何でも言うこと聞くと思ったら大間違いですよ。では、さよなら」
 ぶつり、と電話が切れる音がした。そのまま外人は携帯をぼんやりと眺めている。
 わけ分かんねえ。電話の相手ってあいつの上官だったのか? でもこの前は自分で勝手に上官が好きだとかなんとか言いまくってたのに、今回の態度は全然そうは思わせないよな。それに以前上官から電話がかかってきた時とはかなり表情とか声とかが違うし。上官は上官でも別人、ってことか?
「……なあ川君。俺、初めて携帯なる物を見た」
「は? ……じゃなくて、そ、そう。よかったですね」
 急に師匠におかしなことを言われて答えに困ってしまった。師匠は物珍しそうに外人の手の中を見ている。そんなに携帯が珍しいんだろうか。
「なあアレート。そっちの世界に携帯ってないのか?」
「ううん、そんなことないけど」
 だよなぁ。だって現に外人がさっき使ってたんだし。それに異世界は何でもありだしな。もう何があっても驚かないし。
「ちょっと、なんでそんなにじろじろ見るのさ。向こう向いてよ」
 俺を含む三人の集中した視線が痛かったのか、リヴァは怒ったような困ったような顔をした。だがそれをかき消すかのごとく再び携帯の着信メロディが流れ出す。
「なんだよ、うるさいなぁ。今度は誰?」
 携帯に文句を言いながらそれを眺める外人。しかしそのむっと歪んだ顔は、一瞬にして喜びに満ちたものへと変化した。
「じょ、上官だ。わぁわぁ、どうしようっ!」
 がばりと外人は立ち上がる。腰抜かしてたんじゃなかったのかよ。嬉しさのあまり治ったってか。なんて単純な奴なんだ。
「もしもし? 上官? どうかしたんですか? そっちに今から行きましょうか?」
 行きましょうかってお前。ここがどこだか分かってんだろうか。日本でも異世界でもないアメリカなんだぞ。外国だぞ外国。そんな簡単に場所を行き来できたら苦労しない。呪文も使えないんだから……って、なんで俺って頭の中で説教してるんだ。ジェラーじゃあるまいし。
「そういえばね、リヴァってどんな職業なの?」
 ふと聞こえてきたのは黄色い髪の少女の声。そちらに目を向けると、空色の瞳が不思議そうに俺の顔を見つめている。
「それは」
 言えるわけないだろ。
 いくらなんでも、いくら仲間だといっても、人には隠したいことの一つや二つはあるものなんだ。
 例えばジェラーは人の心が読めるということ。
 例えばロスリュはいつになっても銃を捨てられないということ。
 例えばラザーは何があったのかは分からないけど、ずっと迷い続けているということ。
 これはアレート自身もそうだし、俺だって同じだ。だって俺たちは人なんだから。
 どんな人でも弱みや隠したいものは持っている。それを容易に他人に言うことって、この上ない悪いことなんじゃないだろうか。
 本人がどう思っているにしろ、俺はどうしてもアレートに事実を伝えようとは思えなかった。すっかり答えに困ってしまい、何も口から出てこない。
「あー、その」
 気の抜けるような声が俺の考えを中断させた。
 隣を見てみると師匠が困ったように頭を掻いているところが見える。
「職業ってことになるのかどうか知らないけどさ、そのこと、ラザーの奴には絶対に聞いたりしないでくれないかな」
「この前ロスリュが聞いてたけど」
「えっ」
 えっ、じゃないだろ。
 師匠はそれっきりぽかんとした顔になって何も言ってこなかった。再び俺の思考が始まるかと思ったが、それは始まりかけて途中で中断された。そうさせたのは他でもない、外人の声である。
「何だって、どういうことですか! ぼくが間違ってたって言うんですか? そんなはずありませんよ! だって身長も体重も指紋も何もかも同じだったし、ちゃんと実際に顔を合わせたことだって――」
 どういうわけかいきなり慌て出している。いつもと全く違うリヴァの様子に、俺だけでなく他の二人も驚きを隠せないように相手の言動に注目した。それでもお構いなしにリヴァは普段より大きな声を上げる。
「だけど相手は犯罪人だ、姿形を偽って他人の容姿を真似するなんてことが簡単にできるわけない! たとえ真似できたとしても、そうですよ、身長や体重、声、性格、癖など真似をしても真似できないものだってあるじゃないですか! ぼくが間違ってたって言うんですか! ぼくが間違ってたって言うんですか!? そんなわけ――」
 ふっ、と、相手と目が合った。
 今にも泣き出しそうな弱々しい銀色の瞳が、何かを見つけたかのように少し大きく開く。
「――上官、だったらこうしましょう」
 目をそらさずにリヴァは話を始める。
「彼の……スイネの知り合いの、川崎樹をそちらに連れていきます」
 それはあまりにも唐突で。
 外人は電話を切る。そしてこちらに歩み寄り、がっちりと俺の腕を掴んだ。
「そういうわけだから。君には上官の元へ行ってもらう」
「ちょっ、待てよ! そんないきなり」
「文句は言わせない。忘れた? こっちはスイネを追ってる側なんだ」
 相手の持つ空気だけでなく、口調や態度もいつもの姿のものではなくなっていた。少しそれに恐怖を覚えてしまう。
 恐怖。
 そうだ、そうだったのに。なんで今まで忘れてたんだろう。
 こいつが俺の傍にいる理由。俺がこいつから逃げられない理由。
「行くよ」
 乱暴に手を引っ張られて、俺はそれに従う他はない。
 誰も止めてくれないのはなぜだろうとか、余計なことを考える余裕はあった。だけどどういうわけか相手に反発する気力もなくて。
 すっかり忘れていたのに思い出してしまった。
 どうせなら、ずっと忘れていられたらよかったのに。

 

 

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